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2022.2.15
特定化学物質障害予防規則等の改正について  
  厚生労働省では「溶接ヒューム」について、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼすおそれがあることが明らかになったことから、労働安全衛生法
施行令、特定化学物質障害予防規則(特化則)等を改正し、新たな告示を制定しました。改正政省令・告示は令和3年4月1日から施行・適用されています。
ご不明点は、弊社営業までご連絡ください。         
【お問い合わせ先】山本光学株式会社セフティ&レーザー・オプト事業部 TEL:06-6783-1101  
【関連情報:厚生労働省 HP】
「特化則内容詳細(金属アーク溶接等作業を継続して屋内作業場で行う皆さまへ)」 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000746531.pdf    
特定化学物質障害予防規則等の改正に関するQ&A
 
 
No. カテゴリ 質問(Q) 回答(A) 動画による解説はこちら
質問別 カテゴリ別
1 全般 今回の法改正のポイントについて簡単に教えてください。 「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」(政令第148号)に伴い、
特定化学物質濃度の規制等が粉じん則から改正され、「溶接ヒュームおよび塩基性酸化マンガン」が特定化学物質(管理第2類物質)に位置づけらました。「溶接ヒューム」が規制されることになり、2021年4月1日より金属アーク溶接を行う現場では新たな対策が必要となりました。
 
2 全般 溶接作業を行うすべての事業者に関わる法律改正ですか? 金属アーク溶接作業(溶接・溶断・ガウジング等含む)を行うすべての事業者が対象となります。事業者は、自社の作業従事者を保護するために、同改正に応じた措置を講じる必要があり、罰則も定められています。
※レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断、ガウジングは含まれません。
 
3 全般 溶接ヒュームのうち何の濃度を測定するのでしょうか? 溶接ヒュームの中のマンガンの濃度を測定します。
「特定化学物質障害予防規則(=特化則)」で、水銀やカドミウムのような重篤な健康障害を発生させる特定化学物質の作業や保管、管理などの取り扱いが厳格に定められています。今回の改正で、新たに溶接ヒュームが特定化学物質に指定され、含有しているマンガン値で評価されることになりました。
4 全般 溶接材料にマンガンが含まれていなければ、対策は不要ですか? 対策は必要です。
マンガンの含有有無に関わらず、「溶接ヒューム」は第2類物質として特化則の対象物質となります。
5 全般 今回の法改正が実施される目的は何ですか? 作業者の健康を(神経障害等から)守るためです。
 
6 全般 「金属アーク溶接等作業」とは、具体的にどのような作業ですか? アークを熱源とする溶接、溶断、ガウジングがすべて含まれ、TIG 溶接や炭酸ガスアーク溶接(MIG,MAG)、プラズマアーク溶接も対象となります。
一方、燃焼ガス、レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断、ガウジングは対象ではありません。
 
7 全般 作業者によって溶接作業内容や作業時間が異なりますが、すべて規制の対象になりますか? 作業時間にかかわらず、溶接ヒューム作業に従事する人はすべて対象となります。また、管理が必要となるヒュームには、溶接作業だけでなく、アーク溶接等により発生したヒュームが作業場内の床面等に堆積したものを掃除する場合や、集塵機に溜まったヒュームを廃棄する等の作業も含まれます。
※その際、溶接ヒュームの含有量が重量の1%以下の場合は除きます。
 
8 全般 被覆アーク溶接棒のSDS(安全データシート:
Safety Data Sheet)にはマンガンが含有されていませんでしたが、規制の対象になりますか?
SDSにマンガン含有の記載が無くても、溶接ヒューム中にマンガンが測定されることがありますので、必ず測定する必要があります。
 
9 対策のポイント 具体的な対策項目を教えてください。 丸数字は今回の溶接ヒューム改正に伴う特有の措置になります。
※溶接作業の環境(屋内、屋外)で対策が異なります。作業ごとの進め方を
ご確認ください。
1.全体換気装置による換気または同等以上の措置
②.溶接ヒューム濃度の測定
③.測定結果から使用すべき呼吸用保護具を選定
④.呼吸用保護具の使用と定期的なマスクフィットテストの実施・記録
(1年以内毎に1回)
5.特定化学物質作業主任者の選任
6.その他必要な措置(特殊健康診断の実施など)
 
 
10 対策方法 いつから対策が必要ですか。 ▶即時対応必要なもの:
1.全体換気装置による換気または同等以上の措置
6.その他必要な措置(特殊健康診断の実施など)
▶2022/3/31までに実施が必要なもの:
②.溶接ヒューム濃度の測定
③.測定結果から使用すべき呼吸用保護具を選定
5.特定化学物質作業主任者の選任
▶2023/3/31までに実施が必要なもの:
④.   呼吸用保護具の使用と定期的なマスクフィットテストの実施・記録
 
11 対策方法 【屋内作業場】で溶接を行う事業者には、どこまで含まれますか? 対象=自社工場や現場ファブリケーター(工場で鋼材の加工・組立などを専門的に行う鉄骨加工業者。規模にかかわらず)、プラズマ切断など金属アーク現象を用いた作業(溶接、溶断、ガウジングなど)。
鋼材加工業者(1次・2次・シャーリング)などの事業者も含まれます。
12 対策方法 【屋外作業場】【毎回異なる作業場】で溶接を行う事業者には、どこまで含まれますか? 対象=現場溶接施工業者、工場溶接請負業社、鍛冶工などの事業者。
※特定の工場がないため、溶接ヒュームの濃度測定・結果がないことから、
それに伴う措置はありません。
また、「呼吸用保護具の使用」は、現行の「粉じん則に基づくマスク着用の義務」のままで、特化則に基づく性能規定は求められていません。その一方で、作業所のオーナーあるいは発注事業者は溶接作業を行う従業員を保護する責任があるため、「特定化学物質作業主任者の選任」や「特殊健康診断の実施」などは必要となります。
 
13 全体換気 【屋内作業場】「1.全体換気装置による換気または同等以上の措置」について具体的に教えてください。 “動力による”全体換気装置が必要で、ない場合は設置が必要です。“同等以上の措置”として局所排気装置などが挙げられます。なお、換気能力に規定はありません。
 
14 全体換気 【屋内作業場】換気装置の風量増加以外に、どのような方法が考えられますか? 溶接ヒューム量の低減(溶接方法や母材、溶接材料等の変更による)、集じん装置による集じん、移動式送風機による送風の実施などがあります。
 
15 作業環境測定 「2.溶接ヒューム濃度の測定」は必須ですか? 「継続して」屋内作業場で行う場合に、ヒューム濃度の測定が義務付けられています。経過措置期間が設置されていますが、2022年3月31日までに実施しなければいけません。
 
16 作業環境測定 溶接ヒューム濃度測定とはどんな測定方法でしょうか? 測定は、労働者の身体に試料採取機器とサンプラーを装着して行います(個人ばく露測定法)。個人ばく露測定は、金属類(鉛及び金属である特定化学物質)に係る第一種作業環境測定士、もしくは作業環境測定機関が実施するのが望ましいとされています。全国の労働局に登録された作業環境測定機関、
中災防(中央労働災害防止協会)、日本作業環境測定協会、各地区の労働基準監督署などへご相談ください。
17 作業環境測定 溶接ヒューム濃度測定の対象者を教えてください。 対象者は、ばく露される溶接ヒュームの量がほぼ均一であると見込まれる作業(均等ばく露作業)ごとに、2人以上に対して行います。なお、対象者が1人の場合は、その対象者が2作業日行います。
18 作業環境測定 溶接ヒューム濃度測定時間を教えてください。 測定時間は、作業日の金属アーク溶接等作業に従事する全時間です。アーク溶接等作業の準備作業、作業の間に行われる研磨作業、作業後の後片付け等の関連作業の時間が一連の作業時間として含まれます。また、採取時間は短縮することはできません。
 
19 作業環境測定 第一種作業環境測定士は、自社で資格取得して対応してもいいのでしょうか? 自社で資格取得して対応可能です。同資格は国家資格で、受験には実務経験等の要件を満たす必要があります。
詳しくは、下記URLよりご確認ください。
 
https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikakusakan.htm    
20 製品選定と
マスクフィットテスト
呼吸用保護具の選択の方法を教えてください。 溶接ヒュームの濃度の測定を行ったマンガン濃度の最大値を使用し、要求防護係数を計算します。
個人用保護具に関するご相談はぜひ当社へご相談下さい。
 
21 製品選定と
マスクフィットテスト
防護係数の高い呼吸用保護具を選択すればいいのでしょうか? まずは溶接ヒュームの濃度を測定し、その結果(防護係数)から、現場に適した呼吸用保護具の種類を選択することをお勧めします。例えばマンガン濃度が低い場合、<DS2国家検定合格品>使い捨て式防じんマスクで対応可能なケースもあります。
※防護係数の高い呼吸用保護具は費用が高額になる製品も多く、作業現場の溶接ヒュームを測定する前に購入することはお勧めしません。ご要望ありましたら当社の担当者が現場に出向き、特定化学物質障害予防規則の改正に関する対策についてご説明させていただきます。
 
22 製品選定と
マスクフィットテスト
フィットテストによる確認は誰が行ってもよいでしょうか? 法令上、実施者の制限はありませんが、精度等を確保するために十分な知識及び経験を有する者が望ましいです。(例:保護具着用管理責任者など)
23 製品選定と
マスクフィットテスト
フィットテストの方法を教えてください。 フィットテストの方法についての詳細は、(公社)日本保安用品協会より「呼吸用保護具フィットテスト実施マニュアル」が販売されております。
下記よりご確認ください。

 
URL:https://jsaa.or.jp/    
また、フィットテストが不要な保護具もありますので、ぜひ当社へご相談ください。問い合わせ先:06-6783-1101    
24 製品選定と
マスクフィットテスト
マスクフィットテストは全員する必要がありますか?
また、その頻度を教えてください。
面体を有する呼吸用保護具などフィットテストが必要なマスクを使用していれば、非常勤、臨時社員問わず全員実施する必要があります。その確認方法は、改正予定のJIS T8150に定める方法または同等の方法により実施します。
フィットテストは、呼吸用保護具が適切に装着されていることを確認するため、1年に1回を行い、その結果は3年間保存しなければなりません。
 
25 製品選定と
マスクフィットテスト
アーク溶接作業場の周辺作業者も同じ指定防護係数の保護具が必要ですか? 今改定の対象とはなりませんが、DS2マスクなどの保護具着用をお勧めいたします。
 
26 特定化学物質
作業主任者
特定化学物質作業主任者について教えてください。 安衛法に定められた作業主任者の一つで、国家資格です。
取得するには、各労基協で開催される2日間の「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を修了する必要があります。
経過措置がありますが、2022年3月31日までに選任します。
 
27 特定化学物質
作業主任者
特定化学物質作業主任者は、事業所に何人必要ですか? 作業場(建屋)ごとに必要です。
詳細は労働基準監督署へお問い合わせください。
 
28 特定化学物質
作業主任者
常時溶接作業を行わない場合でも、特定化学物質作業主任者の選任は必要ですか? 必要です。
法令上作業頻度による例外は設けておりません。
 
29 特殊健康診断 特殊健康診断は、従来のじん肺健康診断で代用可能ですか? 別途、特殊健康診断が必要です。雇い入れ、配置換え、およびその後6か月以内ごとに1回、定期に健康診断が必要となります。
 
 
30 費用 ヒューム濃度測定、保護具の再選定に補助金は出ますか? 現状そのような情報は出ておりません。厚労省からの情報を随時ご確認ください。
 
31 費用 ヒューム濃度測定に必要な費用を教えてください。 アーク溶接の種類(TIG溶接や炭酸ガスアーク溶接(MIG、MAG等)、プラズマアーク溶接)、1種類毎に費用が必要になります。また、現場(作業、溶接の種類)毎に測定が必要です。作業は同じでも周囲の環境や設備状況によって濃度が変わることがあり、同じ建屋内でも作業を行う場所が離れていたり作業内容が違う場合などは、
それぞれに濃度測定を行う必要があります。
必要総額や詳細はご依頼する測定業者へお問い合わせてください。
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